星新一の父の本
最近アマゾンのkindle unlimitedという本読み放題のサービスに加入したので、星新一の『明治・父・アメリカ』という最近の本(1975年発行、笑)を読んだんだけど、中々面白かった。
SF作家の星新一の父は製薬会社の社長で、趣味でSF小説を一冊書いていたくらいしか知らなかったんだけど、若くして渡米して無一文の状態から苦学し、当時の偉人に会いまくり(野口英世と親友になったり)の人だったんだね。
星新一の父が書いたSF小説は、以前国会図書館インターネットアーカイブで読んで、2014年にブログに長い要約を載せたりしたので(そのブロク消しちゃった)、今その要約をHDの中から引っ張り出して眺めると、前書きに突然登場する後藤新平とその妻の謎が解ける。
当時ブログに載せた要約から抜粋。
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【星新一の父が大正37年を描いたSF『三十年後』】
『三十年後』は、大正7年(1918)にその30年後を描いたSF小説です
作者は星一(ほし はじめ)。
SF作家の星新一の父で、星製薬という製薬会社を作った人です。
『三十年後』の前書きに、後藤男爵夫人の霊前に供すとあり、生前の思い出話が載ります。
後藤男爵とは後藤新平のことです。
星と男爵夫人とは18年来の付き合いで、大正7年から数年前のこととして、ある日男爵夫妻と佐野博士夫妻、鶴見法学士夫妻が星製薬の店頭に現れ、男爵は店員の一人に「馬鹿につける薬」はあるかを尋ねたそうです。
するとその店員は、目下研究中であると答えたそうです。
数日後男爵とその友人による一夕の宴会があり、男爵は席上、「星の門下に豪傑あり」と、そのときのことを話し、それに応えて星は、「彼の店員のごときはいうに足らず、余の店内には彼に優るもの少なからず」と返すと、場は大いに盛り上がったそうです。
その後男爵夫妻は、散歩のおりに度々星製薬の店頭に立ち寄ったそうですが、男爵夫人は大正7年3月24日病床に就き、4月8日に亡くなります。
病にかかったのは前年の冬でしたが、議会開会中の男爵に心配をかけないように、議会が終わるまでそれを隠し、男爵の前で平気を装っていたそうです。
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さっき読み終わった『明治・父・アメリカ』から抜粋。
『すすめられて後藤邸に行くと、美しい夫人が待っていて、 もてなしてくれ、 帰りぎわに、新聞紙に包んだものを渡された。「おみやげですから、なくさない ように」あけてみると、五千円という大金が入っていた。』
星新一の父が28の歳(明治35年、1902年)、米国で日本を紹介する英文月刊誌を発行していて金に困っていた頃、担保もなく人柄だけを見て大金を貸してくれた恩人だったんだね。
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