中々うまく行かない
7月30日木曜日、庭の芝生が畑に1メートルずつくらい侵入していたので、朝7時半くらいから、家に居る母には緊急ブザーを持たせ、頭に保護帽子を被せ、俺は緊急ブザーのスピーカーを入れたポシェットを持って、庭に出て芝生抜きをしていた。
11時頃、玄関のドアが開いた。
見ると、母が一人で玄関から顔を覗かせて、こちらを向いて笑顔を見せた。
母が退院してから、一人で玄関まで出るのは初めてのことだったので、俺は駆け寄って、しかし手が芝生抜きの土でドロドロだったので、手助けもできず、「大丈夫?」とだけ訊いた。
母は嬉しそうに「大丈夫」と言い、一人で玄関の外に出て、日課の歩行器での歩く練習をして、一人で家に入って行った。
翌日の金曜日の昼間、前日どうやって一人で靴を履いて、玄関の外に出たかを実演して見せてくれた。
微笑ましい時間だった。
しかし、人間万事塞翁が馬。
その日の朝方の夜中、腰が痛いというので電気を点けて母の背中を見ると、手の平大の水疱が出来ていた。
土日は病院が休みなので、月曜日まで様子を見ることにした。
土曜日は痛いというので庭で歩く練習は休んだ。
日曜日は頑張って庭で歩く練習をしてくれた。
月曜日の午前中に病院に行くと、帯状疱疹(たいじょうほうしん)だと診断された。
年寄りがかかりやすい病気で(まれに若くてもかかるらしい)、子供の頃水疱瘡(みずぼうそう)にかかったことがある人は皆、実は水疱瘡が治ってもウイルスが消えるわけではなく、ずっと体内に潜伏していて、免疫力が低下すると再び発症するらしい。
しかもたちの悪い神経痛を伴って。
三人に二人の割合で、1~2ヶ月で激痛が治るらしい。
三人に一人の割合で、3ヶ月以上激痛が続くらしい。
五人に一人の割合で、5ヶ月以上激痛が続くらしい。
母が大人しく寝ていたら楽だと言うので、また寝たきりになってしまった…
入院中の5週間歩かないだけで、上半身も一人で起こせなくなっていたのが、せっかくここまで回復したのに…
今日8月8日で一週間寝たきりの生活が続き、既にもう一人で上半身も起こせない状態になってしまった。
中々うまく行かないもんだ。
でも、まあ俺は諦めない。
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